未登記建物を相続した後の手続き【解体・売却・リフォーム】

未登記建物を相続した後に必要となる目的別手続き 空家の相続・解体・売却

不動産を相続したけど建物が未登記だった。

古い建物だし売ってしまいたいけどどうすれば良いの?

建物の登記をしてからじゃないと売れない?

そんな風に思っていませんか?

 

建物を新築したら登記する義務があります。

しかし、古い建物の中には、登記しないまま使われ続けているものもあるため、建物の解体や売却などの手続きをするときに問題が生じます。

 

そのためこの記事では、相続した未登記建物の手続きをどうすれば良いのか、あなたの目的に合わせた対応方法について解説していきます。

 

この記事を読むことで、相続した建物に住みたい、建物をリフォームして住みたい、建物を解体して新たに新築したい、不動産を売りたいという場合にどのような手続きをしていけば良いのかが分かりますよ。

 

未登記建物を相続した後の手続き4パターン

登記されていない建物(未登記建物)を相続した後の建物の利用目的は大きく以下の4パターンに分けられます。

  • 建物に住みたい
  • 建物をリフォーム・リノベーションしたい
  • 建物を解体して新築したい
  • 土地・建物を売りたい

それぞれの目的別にあなたがどのような手続きをする必要があるのかについて解説していきます。

相続した建物に住みたい場合

亡くなった方が登記をしないまま住み続けていた建物なので、あなたがそのままそこに住みたいのであれば特別な手続きをしなくても住むことができます。

 

しかし、この場合でも「誰が建物の所有者なのか」をはっきりさせるために相続人が複数いるなら誰が所有者なのか分かるよう「遺産分割協議書」で建物の所有者を決めておきましょう。

 

また、建物の登記がされていないと見知らぬ誰かが「この建物は私のものだ!」と主張してきたときに、「そんなことはない、この建物は私のものだ!」と反論するための証拠が足りない状態になります。

誰が建物の所有者なのか権利関係をクリーンにしておきたいなら、建物の「表題登記と保存登記」をした方がベター。

建物の「表題登記と保存登記」については、「未登記建物を登記する方法」で後述します。

  • 住むだけなら何もしなくても住める
  • 誰が建物を相続したのか分かるよう、遺産分割協議書を作っておく
  • 建物を登記しておいた方が将来的には安全

建物をリフォーム・リノベーションしたい場合

未登記建物は何十年も前の古い建物が多いため、住む場合にもリフォームやリノベーションをしたいと思うことも多いです。

この場合はちょっと注意すべき点があります。

 

  • 現金払いでリフォーム・リノベーションをする
  • ローンを組んでリフォーム・リノベーションをする

前者の「現金払い」であれば、お金さえ払えばリフォーム・リノベーションをすることができるので前述の「相続した建物に住みたい場合」と全く同じです。

 

しかし、後者の「ローンを組む」場合には不動産に抵当権を設定する必要があります。

金融機関がお金を貸し出す条件として「抵当権の設定」があるため、抵当権が付けられなければお金を貸してくれません。

「抵当権」とは簡単に言うと、お金が返せなかったときに不動産を競売にかけ、その売却金額からお金を回収できる権利のことです。

金融機関は「抵当権設定の登記」が出来ないとお金を貸してくれないので、未登記建物のままだとローンを組むことができないのです。

 

そのため、未登記建物のリフォーム・リノベーションをするためにローンを組みたいなら、先に未登記建物の登記をしなければなりません。

  • 現金払いでリフォーム等をするなら特に手続きをしなくてもできる
  • ローンを組んでリフォーム等をするなら、先に未登記建物を登記しなければならない

未登記建物を登記する方法

未登記建物を登記するには以下の2つの登記申請が必要です。

  • 建物表題登記
  • 建物保存登記

簡単に言うと「建物表題登記」とは、建物の場所や構造、床面積などの建物のスペックの記録、

「建物保存登記」とは、建物の所有者が誰なのかという建物の権利に関する記録になります。

 

「建物表題登記」は「土地家屋調査士」という専門家に依頼します。

未登記建物の所有権が証明できる下記のような書類があれば大体8万円~10万円ほどで表題登記をすることができます。

建物表題登記の必要書類(以下から2種類)
  • 確認済証
  • 検査済証
  • 建築請負人の工事完了引渡証明書 + 印鑑証明書
  • 建築請負契約書 + 工事代金領収書
  • 固定資産税納税通知書
  • 電気ガス水道等の領収書

など

これらの書類がない場合には調査測量などの費用が追加でかかります。

詳しくは土地家屋調査士に相談しましょう。

 

「建物保存登記」は「司法書士」という専門家に依頼します。

「建物表題登記」ができていれば大体4万円~6万円ほどで保存登記ができます。

 

「建物保存登記」はそこまで難しい登記ではないため、自分で書類を揃えて申請書を作れば1万円~3万円ほどの実費だけで申請することも可能。

「建物保存登記」の申請書と添付書類については、法務局の以下のページに様式と記載例があります。(様式及び記載例 2)です)

法務局:不動産登記の申請書様式について

 

  • 未登記建物を登記するには、「建物表題登記」と「建物保存登記」が必要
  • 「建物表題登記」は土地家屋調査士がする、およそ8万円~10万円ほど
  • 「建物保存登記」は司法書士がする、およそ4万円~6万円ほど

建物を解体して新築したい場合

今ある未登記建物を解体して、建物を新築する場合は2つの手順が考えられます。

  • 未登記建物を登記 → 建物を解体 → 登記を閉鎖 → 建物を新築 → 新築建物を登記
  • 建物を解体 → 建物を新築 → 新築建物を登記

前者は「建物を解体するために建物の所有者が誰だかわかるよう登記する」という手順が含まれていますが、正直無駄ですよね?

後者のように未登記のまま解体することができれば前述の「未登記建物を登記する方法」でかかる10数万円の費用を節約することができます。

 

実際に未登記建物を解体する場合も、登記はしないでそのまま解体することが多いです。

一般的な相続手続きに必要となる戸籍謄本類や遺産分割協議書などがあれば、未登記建物でもそのまま解体することができます。

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未登記建物を解体した後は、建物がある自治体(市区町村)に「家屋滅失届」を提出することで固定資産税が課税されなくなります。

「家屋滅失届」は自治体によって名称が違うことがあります。未登記建物を解体したら役所・役場に相談してみてください。

「家屋滅失届」を出さないと、建物は存在していないのに固定資産税だけ取られ続ける状態になってしまうので忘れないように。

 

無事建物を解体できたら、後は普通の新築と同じですのでハウスメーカーさんなどと相談して手続きを進めましょう。

未登記建物が建っていた土地の所有者が「亡くなった人」であった場合には、先に土地の「相続登記」を申請する必要があります。

相続登記は「司法書士」に依頼してください。

未登記建物が建っていた土地が「借地」である場合には、未登記建物を解体して新築しても良いのか事前に確認が必要です。

不動産を相続した時点で、借地契約がどうなるのかよく確認をしましょう。

  • 未登記建物は相続書類があればそのまま解体できる
  • 未登記建物の解体後は、自治体に「家屋滅失届」を出す
  • 建物が建っている土地の権利状況(相続登記、借地)には要注意

不動産を売りたい場合

未登記建物がある土地が借地でなければ、不動産を売るのには以下の2パターンがあります。

  • 土地と建物をセットで売る
  • 建物は解体して更地で売る

未登記建物は古いことが多く、建物が欲しい人はあまりいませんから前者の「土地と建物を売る」というパターンは非常に少ないです。

もし「土地と建物を売る」のであれば未登記建物を登記する必要があります。

 

「建物を解体して更地で売る」場合は、前述の「建物を解体して新築したい場合」と解体するまでの流れは同じです。

建物を新築する代わりに売却すれば良いのです。

 

土地の相続登記や建物の解体手続きの前でも、土地の査定をお願いして買主を探すこともできます。

そのため、土地を売却予定の方はより良い条件で売れるよう早めに動き始めましょう。

 

  • 未登記建物は解体して更地を売ることが多い
  • 未登記建物は登記しなくても解体できる
  • 解体や相続登記手続きと平行しながら売却査定をお願いすることもできる

未登記建物を相続した後の手続きまとめ

未登記建物はその後どうしたいかによって必要な手続きが異なります。

 

そのまま住むのであれば特別な手続きをしなくても良いですが、

  • 建物のリフォーム・リノベーションのためにローンを組みたい
  • 建物の権利関係を明確にして安心したい

のであれば、未登記建物を登記する必要があります。

 

未登記建物の登記は「建物表題登記」と「建物保存登記」の2つが必要。

「建物表題登記」は土地家屋調査士、「建物保存登記」は司法書士に依頼してください。

 

未登記建物を解体するのであれば、登記をしなくても解体することができます。

 

未登記建物を解体した後は、自治体に「家屋滅失届」を出して固定資産税が課税されないようにしましょう。

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土地を売却する場合は相続登記や解体の途中でも、平行して買主を探すことができますので売却査定をしてみると良いですよ。

 

 

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